229号線を走って神威岬(かむいみさき)に着く。
「カムイ」はアイヌ語で神の意味である。
神威はそれに漢字を当てたのだろう。
北海道にはそんな地名がたくさんある。
バスを降り、20分ほど神威岬の先端に向かって歩く。
770mだというが、遊歩道というにはあまりに厳しい「チャレンカの小道」である。
高所恐怖症にはきつい道、険しさも往路のうちから帰路を憂えるほど。
そんな苦痛も神の住処の景色に癒される。
絶景とはこのことをいうのだろう。
透き通った「シャコタンブルー」が眼下に広がる。
さあ、と気持ちに勢いをつけてしばらく帰路を歩くと、岩の上に大きなカラス。
目の前に止ったまま、しばらく動かない。
このカラス不吉の兆しか、神の使いか。
記紀のにある八咫烏(やたがらす)の伝承のように吉兆なのである。
カラスの勝手ではなく、人間の勝手な解釈なんだろうが。