
ロータリークラブ例会の卓話は、元米山奨学生の周夏くん、32歳。
中国大連出身、今は仏教研究の学者をしている。
日本語も早口でばっちり。
尺もぴったり、わざと時間を余し、「いったんコマーシャル」と言いつつ、中国の民族楽器を演奏した。
上手。
卓話の題名は「夢と現実」。
音楽家の夫婦の間に生まれ、音楽家としても一流。
だが、演奏家にはなれても芸術家にはなれぬと断念した。
画家も志し、細密画、水墨画とこれも一流、最近もお寺の大きなふすま絵を描いている。
これも、画家にはなれても芸術家にはなれぬと、次は仏教研究の世界へ。
サンスクリット語、チベット語、中国語を駆使しお経を読む。
その講義を英語で行なう。
今日は日本語だが。
まあ、多彩な青年だ。
今は、歯科技師の勉強もしている。
これは、仏教研究が「理論」で、歯科技師は「実践」と定義づけている。
一緒に来ていた同じく元米山奨学生のボルジドくん。
彼は今、旅行代理店の社長、日本と出身地のフフホトを行き来している。
フフホトは中国内モンゴル自治区、以前ここ出身の米山奨学生ス・チンくんのカウンセラーを私が務めていたこともあり、親しみが持てた。
周夏くんのほうも、私は父が大連で僧侶の修行をしていたこともあって、これもまた親しみがもてた。
そうでなくても、親しみの持てるオープンハートな二人の才能溢れる青年だった。
まだまだ私も夢を見なきゃね。
最後に、周夏くんの言った、仏教を語るに、これだけは言っておかなければならないこと。
「空は無ではない」